30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

インターネットのあり様を根本から変える可能性がある~米通信品位法230条を巡る議論

米最高裁は2023年2月、「ゴンザレス対グーグル」訴訟の口頭弁論を開いた。2015年にパリで起きた同時テロで死亡した被害者の遺族らが起こした訴訟で、原告側は「ユーチューブ」がISの動画を利用者に推奨したことでテロを助けたと主張する。一方、1996年に成立した米通信品位法の230条はSNSの運営企業などに対し第三者が投稿するコンテンツに関する幅広い法的免責を与えている。争点は、アルゴリズムを通じて利用者に推奨したコンテンツについても免責の対象に含まれるか否かだ。グーグルは、免責が制限された場合にはSNS運営企業はあらゆる不快なコンテンツを監視する法的圧力に直面し、「インターネットをディストピア(反理想郷)に変える」と警告する。SNSの影響力が強まるなか、米連邦議会では230条の見直しを求める声が根強く、今後の審理の行方が注目される。(芳賀)

事業継続ガイドラインを改定=内閣府防災

内閣府防災担当は24日、災害時における事業継続計画(BCP)策定・運用についてのガイドライン「事業継続ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-(令和5年3月)」を公開した。前回公表した令和3年4月版では相次ぐ台風などの水害・土砂災害対応を強化したことに続き、今回の更新では「安心安全で健康」に配慮した対策として、テレワークの導入およびオンラインを活用した意思決定を行える仕組みの整備などを明示したほか、オンライン活用にともなう情報セキュリティーの強化などに言及した。災害時にオンラインで適切な意思決定を行うためには、通信手段の確保や非常用電力などの設備、ライフライン確保のほか、適切な情報を共有できるシステム作りも欠かせない。コロナの教訓を忘れず、オンラインのBCP活用を進めていきたい。(大越)

▼事業継続ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-(令和5年3月)

研修の効果を高めるフォローアップ

コロナ禍を経て対面での研修が減り、研修の短時間化が求められるようになった。確かに、動画や講義のみのオンライン研修では、せいぜい1時間程度が集中力の続く限界だろう。短時間でも、伝えるための工夫はできる。しかし研修が実践につながるかは、正直不安に感じることがある。研修は行動変容を求めて実施しているはずだが、研修を実施したこと、内容を伝えたことで満足し、肝心な「やってみよう」につながらないのは困るのだ。行動を動機づける演習や、自分事に落とし込むディスカッションを組み込むには、やはり1時間では厳しく、双方向性も欲しい。研修の効果を求めるならば、せめて終了後のアンケートで一押しできないか。研修の満足度よりも、研修後に自分が「何をするか」を問うてほしい。目標を言語化するだけでも、効果の違いは期待できる。(吉原)

見落としがちな災害廃棄物の問題~日本海溝モデル地震では2,717万トンの災害廃棄物の発生が推定される~

環境省によると、日本海溝モデルの地震が発生した場合、津波堆積物を除いても最大2,717万トンもの災害廃棄物が発生するという。これは東日本大震災で発生した災害廃棄物である約2千万トンを上回る。災害時には様々な種類の廃棄物が一度に大量に発生し、公衆衛生上大きな問題となる。臭気や害虫はもちろんのこと、ごみ置き場で火災が発生することもある。見落とされがちだが災害廃棄物もまた大きな問題の1つだ。一方、災害時には人命救助等を優先させるため交通規制が行われ、救急車や消防車くらいしか基本的には主要な道路を通行できず、通常のごみ回収ですらままならない可能性がある。災害廃棄物処理対策は市町村と関連事業者の連携や取り組みがその中心だが、災害廃棄物の問題自体は他人事ではない。まずは、災害時に何が起きるかを知ることが大切だ。(小田)

▼技術・システム検討ワーキンググループの検討(環境省)

▼災害廃棄物対策の基礎~過去の教訓に学ぶ~(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課 災害廃棄物対策チーム)

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