30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

サイバー攻撃の「加害者」性を自覚せよ

サイバー攻撃は、自らが「被害者」であると同時に、他者への攻撃への「踏み台」とされる可能性があるという点で「加害者」性も有している。また、多くの企業で基本的な対策を疎かにするなどの実態が明らかになっており、その脇の甘さが犯罪組織に狙われ、犯罪収益を提供することとなり、それがさらなる犯罪を再生産するという悪循環に陥っている。相手の実態や脅威を正確に把握することが、実効性ある対策を講じるための第一歩となるが、ソフォスの調査によれば、犯罪集団が外部からマルウエアの機能改善や弱点の報告を募り、最大100万ドルの報奨金を提供するなど精度を高める努力を惜しまない一方、多くの企業で深刻な欠陥が長期間放置されている実態がある。これでは勝負にならない。不作為の放置が加害行為になりうる現実を直視することから始めたい。(芳賀)

千葉の地震で6000台のエレベーター停止

5月11日に発生した千葉県南部の地震では千葉県木更津市で震度5強、東北地方から中部地方にかけて多くの地域で震度1から震度5弱の地震を観測した。早朝4時16分という時間帯だったためあまり話題に上らなかったが、NHKの調査によると首都圏でおよそ6000台のエレベーターが停止し、なかには復旧まで5時間かかったものもあったという。5日に発生した石川県の地震の影響では、大阪の「あべのハルカス」の展望エレベーターが1時間停止した。いずれも閉じ込めは発生しなかったが、エレベーター会社各社は「利用中に地震が発生したら、全ての階のボタンを押し、最初に停まった階から避難して欲しい」としている。エレベーターは一定の揺れを感知すると一旦停止するように設計されている。数分で復旧するものも多いため、まずは冷静に対処することが必要だ。(大越)

「コミュニケーションを取る」とは、雑談をすることか?

働きやすい職場を作るには日頃のコミュニケーションが大切だ。しかし職場でのコミュニケーション活性化を促すと、なぜか一生懸命「雑談」をしようとする人が現れる。個人的な話をせねばと勘違いして、プライベートに踏み込み過ぎれば、「パワハラだ」「個の侵害だ」などとも言われかねない。コミュニケーションとは「情報のやり取り、伝達」であって、その内容は個人的なことや仕事と無関係なことに限定されるわけではない。いつもより業務指示を丁寧に行う、仕事の背景や目的、こうあって欲しいと願う理想像やその理由を語る、うまくいかないことの原因を丁寧に聴き、サポートできることをすり合わせるなど、仕事に関連して、もっと取るべきコミュニケーションはたくさんあるはずだ。無理に雑談などしなくていい。仕事について、もっと聴き、伝えよう。(吉原)

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