30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

最凶の犯罪インフラ「闇バイト」を根絶せよ(2)~「未熟な常識」への対応は大人の責務だ

「闇バイト」は犯罪だ。「たった一度」も許されない。「未熟な常識」しか持ち合わせていない若者は、何かあっても自分では判断がつかず、流されてしまう傾向にある。持続化給付金の詐取や特殊詐欺、薬物等に関わった事例など、誰かに誘われて「悪いこと」の判断がつかない未熟さは家族や社会の紐帯の綻びに起因しているのではないか。私たち大人は、これに関わることで若者にどのような危険が及ぶかについて、若者に伝え続けていく責務がある。保護者に限らず若者の健全育成に携わるすべての大人が、犯行グループによる犯罪実行役の募集の実態や危険性、悪質性について具体的に若者に向けて発信していくことが何より重要だろう。犯罪インフラとして完成形を見せている最凶の「闇バイト」に対峙するには、そうした「社会的包摂」を強化していくしかない。(芳賀)

最悪の想定を考える~長期停電は、決して絵空事ではない

台風6号で沖縄県では大きな被害が出ている。今後上陸が予測される地域についても、同様に警戒が必要だ。今回の台風は速度が遅く、迷走しているため、沖縄県では移動や物資輸送・災害対応に支障が生じ、依然、広範囲での停電が続いている。実際、各地で35度を超える猛暑が続く中、停電及びそれに伴う空調の停止は、熱中症のリスクを上げる。冷蔵庫・冷凍庫が使えないと、冷却用の資材も十分に活用できず、命に関わる重大なリスクがあることを認識すべきだ。停電が長期化すれば、医療機関でも医療機器が使えず十分な処置はできない。防災・災害対応では「最悪」を想定することが肝要だが、往々にして様々な方便により、楽観的想定になりがちだ。企業のみならず、家庭においても、電池式の冷却装置など備蓄物資の見直し、命に関わる対策は、最優先である。(西尾)

何のために行うのか、危機管理の目的を踏まえた危機対策が重要だ

ビックモーター社が記者会見を行ったが、収束の様子を見せない。開始時間の設定等小手先の対策に終始し、肝心の中身は極めて愚かであった。現場の従業員への責任転嫁は、過去の例でも炎上・その後の内部告発を招くだけという教訓も生かされておらず、顧客の車をゴルフボールで傷つけておきながら、当該顧客ではなく、「ゴルフを愛する人への冒涜」と発言する等、感覚のズレを露呈した。渦中の副社長が出席して謝罪することもなく、社長が薄ら笑いをしていた等、余計に反感を招いた。危機管理の観点からは、何の為に記者会見をやるのかという目的をしっかりと認識し、それに相応しいメッセージを伝えて、企業として真摯に反省・謝罪の意向を見せることが重要だ。記者会見だけが危機管理広報ではないが、危機管理広報の重要性を改めて認識すべきである。(西尾)

天気が崩れる前に水害対策を

沖縄で2人が亡くなり、多くの怪我人と3万戸以上の停電を発生させた台風6号が、進路を東から北に変えて今週、九州に上陸する。7日8時現在、気象庁は沖縄本島北部・中南部と鹿児島県奄美地方に「線状降水帯」が発生する恐れがあるとし、警報を発している。現地の方は今から十分に警戒し、まず自宅のハザードマップを確認するなどして必要であれば避難の準備を開始してほしい。「避難」とは以前も本稿で指摘した通り「難を逃れる」ことであり、避難所に行くことではない。安全な場所であれば親戚や友達の家、頑丈なホテルなどでも構わない。とにかく今から計画を開始しておくことが大事だ。企業であれば、水害用の土嚢の準備や、店舗やショールームについては休業の準備をしてもよいだろう。天気が崩れないうち、日があるうちに準備を開始して欲しい。(大越)

8月6日、「長袖の夏」に思いを馳せる

8月6日が来ると、中学生の頃に読んだ戯曲「長袖の夏-ヒロシマ」を思い出す。詳細は忘れてしまったが、戦後の広島の女子校が舞台だった。夏に長袖は暑いので、夏の制服を半袖にしようと運動する生徒会の面々。そこに一人の生徒が来て、腕に残る「ピカのケロイド」を見せ、「やはり長袖のままで」となる話だったと記憶している。その印象が強かったのか、何となく8月6日は長袖を着て過ごしたくなるのだが…暑すぎる。無理をして熱中症になってはいけないので、今年は間をとって(?)七分袖で過ごした。長袖で隠さなければならない跡を残す兵器が、また使われることがないよう願いたい。そっと「長袖の夏」に思いを馳せたい。そのためにも、1日くらい長袖で過ごせる夏が欲しい。世界が平和でありますように。これ以上温暖化が進みませんように。(吉原)

Back to Top