30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

宗教法人の犯罪インフラ化を阻止せよ

旧統一教会に対し解散命令請求が行われる流れとなった。教団による献金要求などが民事上の違法行為に該当し解散命令請求の要件となる「組織性、悪質性、継続性」が認められると判断されたためだ。教団が犯罪を助長する集団として「犯罪インフラ」性があると見なされたとも言える。宗教法人については、休眠宗教法人(不活動宗教法人)の犯罪インフラ化も深刻だ。法人格が売買されることで犯罪や不正に悪用される恐れがあり、実際、宗教法人は闇市場で3千万~5千万円程度で売買されている。宗教活動上の収入に課税されず、宗教施設に固定資産税もかからない税制上の「特権」が、脱税やマネロンを目論む反社会的勢力の恰好のターゲットとなっている。自治体のリソース不足、認識・スキル不足がそれを助長している構図だが、これ以上の放置は許されない。(芳賀)

拡がるジャニーズ問題の関与者

ジャニーズ事務所による2回の記者会見は、担当のコンサルティング会社の失策(司会者の不手際と指名NGリストの作成)により混迷を深めた。事の本質から逸脱した展開は気になる。問題の根源は言うまでもなく、ジャニー喜多川氏の倒錯した性的嗜好、即ちペドフィリアである。しかもそれが権力を背景に強制的に永年に亘って行われていた事実だ。正に"犯罪"行為である。本件に関する"共犯者"は多い。事務所の元・現幹部、メディア、広告代理店、スポンサー企業、それぞれに放置責任がある。安易にタレント人気に便乗する前に彼らの人権を結果的に無視した。TV各局は英BBCに倣って自己検証番組を放映すべきだ。自己保身のために過度な忖度と容易な同調圧力(逆方向も含む)に屈することからの脱却が急務である。再発防止策は性犯罪と放置の双方に関わる。(石原)

「地震なし」で津波発生

10月9日朝の6時30分ごろ、八丈島で40センチなど太平洋側の各地で津波が観測された。当日は震度1以上の地震が観測されておらず、気象庁は「地震そのものの原因が分かっておらず、詳細は分からない」としている。今回の津波は海底火山の影響という専門家もいる。鹿児島県・桜島の火山活動が盛んだった江戸時代中期の安永8年(1779年)に発生した安永噴火では、海底噴火で津波が繰り返し発生。最大で高さ十数メートルの津波が人々を襲い、約20人が亡くなったという。地震や噴火などは人が集まるところを襲えば災害となるが、人がいないところで発生してもそれはただの自然現象でしかない。海に囲まれた日本では、その海域を含めれば我々が知らない自然現象が無数に発生していることは想像に難くない。何があっても慌てないよう、普段からの備えが必要だ。(大越)

ジャニーズ問題に思う。日本の女性に、本当に人権はあるのか?

アイドルのファンになったのは「一番辛いときに支えてくれたから」「明日も頑張ろうと思える、楽しい時間を得られるから」だとよく聞く。アイドルとは、本当に辛い時…おそらく親にも友人にも言えない苦しみを抱えたときに、なんとか明日まで生き延びる力を与え、TV出演やライブ等の少し先の楽しい約束によって、明日も頑張る力を与える職業なのだろう。アイドルは誰かの命綱にもなり得るのだ。ジャニーズ事務所に問題があったのは確かであり、スポンサーが離れ、タレントのTV出演が不透明になるのは仕方ないかもしれない。しかし性加害は男女問わず許されないはずだが、多々ある女性の被害に世の反応はここまで大きくはない。企業やTV局はファンをステークホルダーとみなしたか?命綱や小さな喜びを突然失ったジャニーズファンの多くは女性なのだ。(吉原)

Back to Top