30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

企業実務における「匿名・流動型犯罪グループ」への対応~本気度が試される

「匿名・流動型犯罪グループ」の捉え方は「令和5年警察白書」等に即して個別事情をふまえながら判断していくことになる。「治安対策上問題となる」相手は「関係を持つべきでない」相手であり、基本的に取引NGだ。だが、既存取引先の契約解除の実務においては慎重な検討が必要となる。現状、報道も警察もそれが「匿名・流動型犯罪グループ」であると明確に示してくれないからだ。あくまでも反社会的勢力だと「自社認定」しているにすぎず、対外的に、あるいは法的に対応しようとすれば、コンプライアンス等の観点から解除事由に該当する事実があるかの精査が必要だ。だが、暴排条項が適用できないからといって、「関係を持つべきでない」相手との関係を徒に継続すべきではない。コンプライアンス・リスク管理に向き合う本気度が試される局面でもある。(芳賀)

津波とラフカディオ・ハーン

「Tsunami」という日本語が、津波を意味することを世界に知らしめたのは東日本大震災よりもはるか前、明治時代のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)だといわれている。明治29(1896)年6月に発生した明治三陸地震による津波で多くの犠牲者が出たことを知った八雲は、伝え聞いていた江戸時代の安政南海地震における和歌山県の庄屋である濱口梧陵の偉業を思い出し、明治30年に短編小説「A Living Good(生き神様)」を発表した。この小説を読んで深い感銘を受けた和歌山のある中学の教員が、もっと子供たちにも伝えたいと考えハーンの小説をもとに「稲村の火」を執筆し、昭和9(1934)年に文部省の教材として国語読本に採択され、広く国内でも知れ渡った。「稲村の火」のモデルになった津波が旧暦11月5日だったことから、現在も同日は「津波防災の日」に指定されている。(大越)

上司の「働き方の好み」を部下に押し付けることが、早期離職を招くのでは?

世の中には「ゆるブラック」な職場があるそうな。長時間労働や厳しいノルマはなく、上司や先輩は優しく、生活できないほど低賃金ではない。ラクだが、仕事に高揚感や成長の実感が持てない。なるほど、「辞めたくなる環境」と思う人もいるだろう。しかしゆるブラックなのは会社全体だろうか?直属の上司との相性が大きく関わっていないか?言われたことだけこなしたい、厳しいことは言われたくない上司が、自分の好み通りに部下に接すれば、ゆるブラックな職場ができる。厳しくてもやりがいを持って働きたい上司が、部下にもそれを押し付ければ、ブラックな職場ができる。大きなストレスを感じずに働きたい人もいれば、競いながら挑戦的に働きたい人もいる。各々が「働きたい」と思えるよう、上司は自分に合わせず、部下に合わせるべきではなかろうか。(吉原)

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