2023年12月11日号
組織犯罪対策は「点」「線」から「面」へ~捜査の国際連携がますます重要となる
サイバー犯罪やマネロン等国境を超えて活動する犯罪グループへの対応が急務だ。日本でも被害が深刻な特殊詐欺では、フィリピンやカンボジアを拠点とするグループが相次いで摘発されたが、その背後に反社会的勢力の存在、現地の犯罪組織との連携の実態がある。一方、仏の光学製品メーカーがタイに置く法人の経理責任者の女性が騙されたロマンス詐欺では、200憶円が世界中の中小企業を経由して現金化された可能性があり、日本の中小企業も数社、報酬目当てで口座の悪用に加担した。また、国内外で被害が多発するランサムウエア攻撃では、ウイルスの開発や販売がビジネス化、専門知識がなくてもウイルスを購入すれば攻撃を行えてしまう「RaaSの犯罪インフラ化」が深刻だ。今後、犯行手段の抑止や詐欺グループの摘発、啓発活動など国際連携の強化が肝となる。(芳賀)
障がい者対応の見直しは接客応対の練習も取り入れるべし
2024年4月1日、改正障害者差別解消法が施行される。皆さんの会社でも接客基本方針や接客教材の見直しなどを進めているところだろう。ただ実際の接客の現場で適切に障がい者に合理的配慮を提供するには、規程やマニュアルなどルールブックの文章を改良するだけでは足りない。障がい者への声掛け、筆談、車いすの貸出や誘導など、配慮のバリエーションを選んですぐに提供できるように練習しておかなければならない。業種によっては店員に外国人を採用している企業も多く、言葉や価値観の違いの問題もクリアしておくべきといえる。またオンラインのサービス提供にあたっては、話者が簡単な言葉でゆっくり話す、表示するパンフレットを大きく表示する、チャットに文章を書くなどの練習もおすすめしたい。同法改正対応にあたり「練習」を含め4月を迎えてほしい。(宮本)
▼リーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!」内閣府
木密地域に注意!
11月26日午後8時40分ごろ、東京都杉並区高円寺南の住宅から出火。住宅が全焼したほか、隣接する建物にも延焼して計5棟が焼失し、男性1人が亡くなった。続いて30日午後9時20分ごろ、同じく杉並区上荻の商店街にある焼き肉店から出火。ビルの2~3階部の計60平方メートルを焼いた。東京都は阪神淡路大震災後の1997年に「木造住宅密集地域整備プログラム」を実施し、木造住宅密集地域を指定。その後の土地利用現況調査により算出した不燃領域率が60%未満の地域を木密地域と呼ぶ。不燃領域率とは市街地の燃えにくさを表す指標で、建築物の不燃化や道路、公園などの空地の状況から算出する。70%を超えると市街地の延焼による焼失率はほぼゼロとなる。都内には木密地域が多くのこる。師走にかけてこれから火事の多い時期だ。くれぐれも火の用心を心がけたい。(大越)
自分の死を望む言葉に「花マル」~自分目線の「励まし」は相手のためにならない!~
いじめを受けていた小学生が死にたい気持ちを書いたノートに、担任が花マルを付けて「You can do it !!」と書いたとの報道に、胸が苦しくなる。担任は「励ましの意味で書いた」とのことだが、あまりにも自己中心的ではないか。「自分がされて嫌なことは人にするな」とよく言うが、自分がされて嬉しいことを誰もが嬉しいとは限らないし、自分は嫌でなくても相手は嫌なこともある。自分目線ではいけないのだ。職場においても、誰かの「場を盛り上げる冗談」は誰かを傷付けるハラスメントにもなり、深く考えずに作られた社内規程が、誰かを差別し、危険にさらすこともあり得る。自分の感覚や今のルールが常に正しいとは限らない。なぜ悲しい顔をしているのか、なぜ異を唱えるのか、理解できないならば「どうしたの?」「何が心配?」とまずは深く聴くべきと思う。(吉原)
冬の観光地は油断大敵。観光客目線でのやさしさを!
4年ぶりに家族で北の大地へ。事前にネットで調べた行先の積雪量は0。当然滑りにくい靴では行ったが…現地の歩道はほぼ氷!車道は溶けてぬかるんでおり、なるほど「積雪量0」なのだが、歩道はイベントのメイン会場でさえ雪が踏み固められて凍っている。暖冬、積雪量0でも、その土地に慣れない観光客に油断は禁物だ。地元の方から「摺って歩くといい」と聞いて即実践。しかし普段と使う筋肉が違うのか、すぐ筋肉痛に…。どう歩いても滑るときは滑るので、景色は「立ち止まって見る」ものと学んだ。歩き疲れて乗ったタクシーの運転手さんによると、やはり怪我をした観光客を病院へ運ぶこともあるそうな。イベントもホテルも飲食店も、観光都市らしい充実度で大満足だが…観光客の安全に配慮し、歩道の氷を少し割ってもらえたら、もっと楽しめるのだが。(吉原)