30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

犯罪インフラ化を阻止せよ~あらためて「正しく稼ぐ」ということ

文化庁は、「宗教法人の代表役員等の地位は、宗教法人法では、取引の対象となっていない。簡単に売り買いができるかのように呼びかける行為は問題である」、「宗教法人として設立されながら、事実上、宗教活動を停止しており、法人格のみが残存しているもの(いわゆる不活動宗教法人)が実態上見受けられ、これを放置した場合、第三者により法人格が不正に取得され、脱税や犯罪収益の移転、いわゆるマネー・ローンダリング等の違法行為につながるおそれがある」、「このようなサイトを通じた取引の一部は、宗教法人を悪用した違法行為を助長しているおそれがある」と指摘した。また、闇バイト募集や違法薬物の売買もSNSやサイト上で媒介されるなど、犯罪インフラ化が深刻だ。SNSやプラットフォーム事業者には「場の健全性」を確保する責任があるはずだ。(芳賀)

IPO準備とカスハラ対策

日本IPO実務検定協会編集の「IPO実務検定試験公式テキスト〈第7版〉2022/3/29発刊」において、IPO準備会社による内部管理体制、労務コンプライアンス体制構築にあたり、カスハラ対応体制構築の必要性が記述されている。企業がカスハラ被害者に対し適切な対応を怠れば安全配慮義務を疑われ、法令違反リスク、訴訟リスクを生む。これらのリスク管理がIPO準備会社に求められる、いや正しくは「上場会社」に求められるわけだ。当社に相談を寄せくださった企業の対策の取り組み状況を見ると、カスハラ対策基本方針やカスハラの定義策定に未着手の会社が多い。時代の要請に応じたコンプライアンス、リスク管理体制の構築に向け、ぜひ取り組みを進めてほしい。また、構築の優先順位を決めるなら、まず自社の実態とウィークポイントの把握に着手することをおすすめしたい。(宮本)

千葉県東方沖の地震活動に注意

政府の地震調査研究推進本部は3月1日、「千葉県東方沖の地震活動の評価」を公表した。2月26日23時ころから始まった、千葉県東方沖を中心にまとまった地震活動が継続していることを評価したもの。気象庁のデータでは、2月24日12時から3月2日12時までに千葉県東方沖では震度1以上の地震が84回、震度4は3回計測されている。地震本部の報告によると、房総半島沖では2月26日からわずかな地殻変動を観測しており、これまで検出された地殻変動は大きいところで約1cm。これらはプレートの境界における「ゆっくりすべり」に起因するものとしている。ゆっくりすべりとは、数年前に「日本地没」というドラマの中でも取り上げられて大きな話題となったスロースリップのこと。あおるものではないが、日常からの備蓄などをもう一度見直す契機として欲しい。(大越)

▼2024年2月26日からの千葉県東方沖の地震活動の評価(地震調査研究推進本部)

情報が非対称であることと、積極性の関係

「○日の○時、空いてる?」学生の頃、友人に聞かれて最も答えづらい質問だった。何の用事なのか、何時までかかるのか、場所はどこなのか、何もわからないままでYesもNoもないと思うのだが、友人には全く悪気はない様子。単に「○○さんと食事に行こう」「急用で行けないから代わりにどう?」等、友人にとっては「言わずもがな」の楽しいイベントなのだろう。しかし情報は非対称だ。情報を持っている側は「せっかく誘っているのに」とがっかりするかもしれないが、情報のない側はOKしたら最後、事前準備もその後のフォローも含め、全てOKしたことになるため慎重になる。仕事も同じで、何をするのか、何を期待されているのか、何の情報もないまま業務を打診されれば、部下は戸惑うだけ。部下の積極性が足りないのではない。情報が足りないのだ。(吉原)

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