2024年04月08日号
【もくじ】―――――――――――――――――――
統計上の数字と実態の乖離が示すもの~令和5年における組織犯罪の情勢から
その「差異」は何か。それは、例えば暴力団という属性はないものの実質的には暴力団員として活動している統計上捕捉されない層が分厚さを増している実態、半グレ集団を含む匿流の持つ本質的に不透明な実態、暴力団員を辞めてもまっとうに稼げず、多くは「元暴アウトロー」として存在するしかない実態、組織の「規律」に縛られない分より危険度を増した者らの実態など、統計上の数字だけでは表せないリアルな姿だ。そして、もはや統計上の数字がさほど大きな意味を持たなくなっていることと同様、暴力団対策法の限界も露呈している現状に鑑みれば、暴力団対策のあり方を根本から見直すこと-例えば、海外のマフィア対策のように存在自体の非合法化を前提とするあり方など-実態ベース、リスクベースからあらためて発想すべき時期に来ているのではないか。(芳賀)
どこまで「紅麹サプリ」問題を引っ張り続けるのか
マスコミは、相変わらず紅麹問題を大量に垂れ流し続けているが、未だ原因は特定できていない。流通先からの健康被害報告もない。3年程前に「本日のPCR検査陽性者が○○人だった」と連日“煽り報道"を続けていたときと重なる。まさにデジャブだ。つい2~3カ月前には、麻疹が大流行するかのような報道だった。また今回の問題が明らかになってからは、プベルル酸が犯人扱いされ、今はファンコニー症候群やスタチンに疑いの目が向けられている。ともに機能性表示食品の問題とも絡むが、コロナワクチン接種との因果関係を指摘する専門家も少なくない。逆に紅麹をスケープゴートにする役割を担っている医学部の教授は、製薬業界から多額の寄付を受けている。次に来るのは鳥インフルエンザだろう。もうこの構図に気づかないといつまでも騙されることになる。(石原)
▼【速報】小林製薬「紅麹問題」原料供給先の173社 自主点検の結果「健康被害の報告はなし」厚労省が明らかにMBSニュース
拙速なNTT法改正は国益を毀損する
4月4日、衆院総務委員会でNTT法改正案が可決された。同社の改革を促し、情報通信産業の国際競争力強化を目指し、さらに防衛費増額のためにNTT株を売却するとの目論見だ。日本の通信インフラの基幹が外資系になる可能性があるのだ。改正案はNTTの研究成果の開示義務を撤廃し、禁止している外国人の役員就任は全体の3分の1未満まで認める。NTTが保有する莫大な通信インフラ(特別資産)は、これまで30年25兆円かけて構築してきた国民の財産、防衛インフラの最前線であり、それ以前も含めた再構築には40~60兆円かかるといわれる。これが失われれば、多くの携帯事業者は倒産し、携帯電話料金は上がる。そもそも防衛費増税は国債発行で賄い、防衛増税も行われる。これに対し、株式売却益はたったの5兆円。全国の通信事業者が反対声明を出すのも無理はない。(石原)
▼「通信事業者の間の小競り合いではない」「我々は引くつもりはない」 - KDDI/ソフトバンク/楽天モバイルら181者、NTT法の見直しについて意見表明
台湾東部沖地震は未来の東京の姿かもしれない
4月3日、台湾東部沖でマグニチュード7.2の地震が発生。この地震の影響で、本日(8日)時点で13人が犠牲となり、1100人以上の負傷者を出した。震源地に近い花蓮市では地震から3時間で避難所が設置されて受け入れが可能になるなど、日本も学ぶべき対応が多くあった。台湾では6年前にも台東地震と名付けられた最大震度6強の地震を観測し、その時の反省から対応の迅速化が検討されていたという。しかし今回の地震はそれを上回る規模で、多くの倒壊したビルが中継された。「日本ではこういう倒れ方はあり得ない」と述べる専門家もいたが、能登地震でもビルの横倒しが発生している。福和伸夫名古屋大学名誉教授は、「輪島の建物と同様の建物は、銀座など大都市の繁華街に多数残っている」と指摘する。台湾や能登の姿を、未来の東京に当てはめる必要がある。(大越)
不正対策としてのカスハラ対策
カスハラといえば小売店のようなBtoCの業種を思い浮かべがちだが、BtoBでのカスハラも深刻ではないか。大口顧客からの仕事を失えば営業担当は窮地に立たされる。何とか売上を守るため、顧客担当者のご機嫌をとろうと過剰な接待や利益供与をしたり、自社で負うべきでない責任を負う契約を断れなかったり、不当な業務協力に無償で応じたりと、いつの間にか不正な行為に手を染めることがある。顧客の不正も自社の不正も、放置すれば双方共に危機を呼ぶ。自社におけるカスハラの定義や対応方針を定めることは、自社の不正対策としても有用ではないか。困っている担当者を上司が知らぬフリをするならば、それは無言の「やれ」となる。せめて顧客からの要望にコンプライアンス上の疑義が生じたとき、担当者が社内で安心して相談できる体制が欲しい。(吉原)