30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

大麻の危険性を踏まえた報道を~米政府の医療用大麻容認の動きを受けて

若者への大麻蔓延の最大の原因は誤った情報の流布だ。各紙は、今回の米政府の動きを「米当局、大麻の規制緩和へ 「解熱剤並み」低リスク薬に」(日経新聞)、「米、大麻の規制緩和へ 「解熱剤並み」に分類変更―報道」(時事通信)などと題し、麻薬取締局(DEA)が大麻を危険性の低い薬物に分類変更する方針と報じた。既に米の多くの州で大麻が合法化されているのは事実で、連邦政府も規制緩和に乗り出すといった論調が多いが、これだけではミスリードだ。「米国のガーランド司法長官は4月30日、連邦政府のマリフアナ(大麻)の規制を緩和し、医療目的での使用を認めるようホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)に提言した。…大麻の合法化には至らないが、州レベルに続いて連邦レベルでも緩和が一段と進むことになる」(毎日新聞)との内容がより正確だ。(芳賀)

株主からのクレーム・カスハラ対策のすすめ

5月、6月に定時株主総会を迎える会社は準備に取り掛かっているだろう。今年はぜひ総会運営の対策に加え、株主からのクレーム、カスハラ対策も確認をお願いしたい。会社によるが、株主に招集通知が届くと、読んだ株主が問い合わせ等を寄せるため、同時期はクレームが増えるからだ。株主のクレーム対応は顧客対応と違ったノウハウが必要で、株主の持つ正当な権利行使を阻害すれば違法と解されるリスクを伴う。「取締役を交替させろ」と申し出があったとして、発せられた時期や場面によっては、顧客と違った返答が必要なわけだ。さらに株主の中にはこういった特性を知ったうえで権利を振りかざし、不当な要求を繰り返す者もおり、平素から問い合わせに対応するIR担当等、従業員に対する組織的なケアやフォローも必要になる。ぜひ再確認をおすすめしたい。(宮本)

福知山線脱線事故、事故を風化させない取り組みが急務だ

GW前の出来事で恐縮だが、4月25日は2005年の同日に発生した福知山線脱線事故から19年にあたる。乗客106人と運転士が亡くなり、562人が重軽傷を負った災害級の惨事となった。犠牲となった方には心からご冥福をお祈りしたい。事故調査委員会によると、原因は運転士が列車の遅延を取り戻そうとしてブレーキが遅れたこと。報告書では、日ごろから電車の遅れに対して懲罰が日常的に行われていたことや自動列車運転停止装置の整備が遅れていたことなど、JR西日本の組織的な問題が浮き彫りになった。同社では事故車両を保存する施設の建設工事を進めているが、一般に公開するかは未定だという。日本航空は御巣鷹山墜落事故に対して「安全啓発センター」を作り、社員教育のほか、申込制だが一般にも公開している。JR西日本も、事故を風化させない取り組みが急務だ。(大越)

▼安全啓発センター(日本航空)

「虎に翼」は過去の話だろうか…?

NHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」を見ていると、ため息が出るのは筆者だけだろうか。女性だというだけで能力が低いと断じられ、蔑まれる。男性同士でも、権力を振りかざして恫喝し、理不尽を押し通す。そしてそれに従うしかないと諦めようとする。ドラマの舞台は昭和初期頃と思われ、「昔はなんて酷かったのだろう」で済めばよいのだが…いまだに差別はなくならず、恫喝や権力で自分の主張を通そうとする人はおり、不作為や諦めも横行しているような。現代の常識では、差別もハラスメントも不作為も「やってはいけないこと」ではないか?人権は守られねばならず、要望を通すにはもっと論理的でアサーティブなやり方が求められる。そして不正は通報され、正されるべきだ。100年も前の常識を振りかざすことの恥ずかしさに、そろそろ気付くべきだろう。(吉原)

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