30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

2024年06月17日号

拡散金融対策(CPF)は社会全体で取り組むべき課題だ

日本や中国などの制作会社が下請けに出したアニメーション作品の一部に、北朝鮮が関わっていたという。日本や中国のアニメが意図せず北朝鮮の資金源になっている構図だが、間接的にでも北朝鮮当局に資金が渡れば、国連安保理の制裁違反に問われる可能性がある。また、北朝鮮のIT労働者を商流のどこかで採用してしまうリスクも顕在化しているが、これも制裁違反の可能性が高い。さらに、労働者が北朝鮮以外で活動している場合、加盟国に北朝鮮労働者の送還を求める国連安保理決議にも違反する可能性がある。北朝鮮では海外との事業は政権に管理され、外貨は大量破壊兵器開発に必要な物資の海外での調達に使用される可能性がある。拡散金融対策(CPF)は金融機関の取組みだけでは十分な効果は望めない。全ての事業者が「自分ごと」と捉えることが重要だ。(芳賀)

▼財務省 「拡散金融リスク評価書」を公表しました

御嶽山噴火から10年

長野県と岐阜県にまたがる標高3067mの御嶽山は、活火山として富士山に次ぐ日本で2番目の高さの美しい山だ。その眺望のすばらしさから「日本100名山」にも選ばれ、多くの登山客に親しまれてきた。2014年9月17日、午前11時52分、紅葉が最も美しくなる初秋の好天の日のお昼どきという、山頂付近が多くの登山客でにぎわっているときに突如として水蒸気噴火が発生。死者・行方不明者が63人にも上る人的被害をもたらした。14日に閣議決定された「令和6年度防災白書」では、冒頭で火山を特集。今年10年を迎える御嶽山噴火を振り返るとともに、現在の政府の火山対策についてまとめている。浅間山では依然として警報レベル2が続き、およそ100年周期で噴火してきた富士山はここ300年沈黙を保ったままだ。企業も地震対策に続き火山対策に本腰を入れる時なのではないか。(大越)

▼防災白書(内閣府防災)

研修は「はじめの一歩」を促すもの

企業内研修の内容を固めるにあたり、「こういう問題への対処法を加えてほしい」と次々要望が寄せられることがある。研修頻度が低い企業ほどその傾向は顕著で、一気に詰め込みたい気持ちはわかるが…機会が少ないならばなおさらに、表面的な「対処法」よりも「基本」の浸透を重視すべきと思う。人材育成には「70:20:10」の法則というものがあるそうで、経営者を対象にリーダーとしての成長に何が役立ったかを調査すると「経験:他者からの薫陶:研修=70:20:10」との結果になったという。研修にできることは最初のインプットのみ。それをいかに日常に取り入れ、地道に経験を積み重ねるかが重要だ。研修だけで全て解決はできないが、行動を変える「きっかけ」にはなり得る。「これならできそうだ」と小さな一歩を着実に踏み出すための研修を勧めたい。(吉原)

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