2024年07月08日号
【もくじ】―――――――――――――――――――
「情報の非対称性」と「目利き力」~見えないものを見抜く力を磨こう
リバトンによる大規模マネロン事件で露呈した「自らの脆弱な部分」であり「敵が突いてきた部分」の最たるものは、金融機関における「法人の実態確認」実務の脆弱性だ。敵は、「闇バイト」による募集も含め「徹底した分業体制」と「匿名性」、「統一化・高度化されていくノウハウの共有」、その根底にある「互いのつながりの薄さ」を武器に攻めてきたのに対し、私たちはあまりに無力だった。外部からの攻撃においては「情報の非対称性」から「圧倒的に攻撃する側が有利」だ。トクリュウ優位の構図を今の実務レベルで崩すのは難しい。だからこそ、「目に見える情報」に加え「見えにくい問題の兆候」を把握すべく、実際に相手企業に接し、経営者等の話を聞き、その実態を自らの目で確認するという現場の職員一人ひとりの「目利き力」が極めて重要となる。(芳賀)
個人情報保護法「いわゆる3年ごとの見直し」の動き
個人情報保護委員会は6月27日、個人情報保護法改正に向けた「いわゆる3年ごと見直し」について検討の中間整理を公表した。2024年度末までを目途に議論を深めるとしている。中間整理では、悪質な名簿屋の事例、企業の内部関係者が情報を転売した事例等を題材に意見交換がなされ、対策として第三者提供規制の在り方(オプトアウト等)、課徴金、勧告・命令等の行政上の監視・監督手段、刑事罰の在り方などについて、意見が出ている。また「こどもの個人情報保護」について特別な保護策を講じるべきとの意見も出された。改正法が成立すれば、学校、学習塾など、こどもの情報を扱う企業は対応を迫られるだろう。ぜひ中間整理の公表文をご一読いただき、改正法施行に備え先んじた情報管理体制や社内ルールの見直しスケジュール立てに役立てていただきたい。(宮本)
極右の定義とは?
欧州諸国で極右勢力の台頭が喧伝されている。直近では、仏国の総選挙に注目が集まったが、既に伊国や蘭国では、“極右政党”主導の連立政権が成立。“極右”と従来の“右派”、“保守”との違いは何か。短絡的には「自国さえ良ければいい」という主義主張と解される。これまで新自由主義やグローバリズムの名の下に移民政策が急激に進展し、各国の政治状況は不安定化。犯罪率の増加や国民所得の低下が止まらない。トランプのMake America Great Againにも通じるが、まずは自国民を幸福にしてからの国際貢献であるべきは当然である。今回の英国の総選挙結果は極右へのシフトではなかったが、保守党の移民政策の失敗が、史上最悪の大敗北をもたらしたことは間違いない。極右や極左のレッテル貼りには何か胡散臭さが漂う。日本でも真に国益を守る政治家を見極める眼が必要だ。(石原)
水遊びのライフジャケットは車のシートベルトと同じ
河川協会は6月18日、「No More 水難事故2024」を公表した。全国の河川に関わる水難事故に関するデータを独自に収集し、その原因等について分析・公表しているものだ。資料によると昨年1年間の水難事故発生件数は1392件。そのうち死者・行方不明者は743人に上る。3才から14才までのほとんどの年齢で「不慮の事故」の死因のうち「交通事故」に次いで多いのが「溺水(屋外)」だ。過去20年間の統計では、河川の事故の約半数が7月の梅雨明けと8月の夏休みの時期に重なる。家族の楽しい思い出作りが悲惨な事故にならないよう、十分注意していただきたい。学校で習う「浮いて待て」の姿勢は、河川など流れがあるところでは効果を発揮しづらい。本稿で何度も指摘したように「ライフジャケットは車のシートベルトと同じ」と考え、川遊びの必須アイテムとして欲しい。(大越)
信頼関係を左右する、電話に出る前の「一言」
「社内より社外を優先すること」は、お客様を大切にするという考えのもと、納得のいくものではある。社内の打合せ中にお客様や協力先からの電話を優先する人がいても、さほど抵抗はないだろう。しかし「社外の人を優先する」とは「社内の人をぞんざいに扱う」とイコールではない。大事な仕事の打合せ中に、上司が何の断りもなくいきなり電話に出たら、部下はどう感じるだろう?「お客様だから仕方ない」「売上のためなら仕方ない」「こういう会社だから仕方ない」という小さな諦めが、「自分の仕事はどうでもいい」「だから○○しても無駄だ」と、エンゲージメントを低下させ、「すべきことをしない」言い訳を作って不作為を呼ぶ。「ごめん、少し待って」「失礼!」等、せめて一言、社内の人も大事にする言葉を掛けられれば、信頼関係は保てるだろうに。(吉原)