2024年07月22日号
【もくじ】―――――――――――――――――――
サプライチェーン・リスクマネジメントのアップデートを~クラウドストライク大規模障害を受けて
今回の大規模障害で浮き彫りになったのがサプライチェーンの脆弱性だ。システムにはセキュリティなど分野ごとに強みのある企業によるソフトが組み込まれ、サプライチェーンが形成されているが、その一つが不具合を起こすだけで、大企業や政府機関など世界のインフラが麻痺する深刻なリスクが露呈した。同様のシステム停止連鎖リスクは、半田病院へのサイバー攻撃でもみられた。取引先である給食事業者に侵入したサイバー犯罪者が、通信回線をつたって同病院にも連鎖攻撃を仕掛けた「サプライチェーン攻撃」と呼ばれる高度な手口だった。「サプライチェーン・リスクマネジメント」においては、上流の取組みに漫然と依存することなく、自分事として依存/集中リスクと取引先リスクの存在を前提とした取組みが求められているとあらためて認識すべきだろう。(芳賀)
平時からアンダーパス回避ルートを確認せよ
前回に引き続き、アンダーパスの話題を。西日本を中心に被害が大きかった平成30年7月豪雨では、犠牲者の1割が車での避難中や避難所で被災した。令和元年の台風19号による東日本台風では、亡くなった状況が判明している人のうち、3割が移動中に亡くなっている。国土交通省によると、2022年時点でアンダーパスは全国に3681カ所。特に都市部に密集している。大阪公立大の杉本賢二准教授によると、大阪府内をGIS(地理情報システム)で調査した結果、アンダーパスを回避するための避難距離が最も増加したのは吹田市川園町だ。平時には最寄り避難所である吹田病院まで344mと比較的近い距離にあるが、冠水時のアンダーパスを回避するルートを選択すると、その8倍以上に相当する2900mと算出された。平時から、アンダーパスを回避するルートを確認しておく必要がある。(大越)
「便利さの裏に潜むピンチ」にどう対応するか
先日、「あと19分」のところで炊飯器の電源プラグを誤って抜いてしまった。プラグをさし直しても初期画面に戻るだけ。はて、途中から鍋でお米を炊くには?炊飯器の言う「あと19分」はどんなフェーズ?自分で火加減を調整しなくても、ふっくら美味しいごはんが炊ける炊飯器は本当に便利だ。しかし便利だからこそ、その便利さにどっぷり依存し、知っていたはずの「昔ながらの手順」を忘れてしまう。便利さは、それが使えなくなったときのピンチと常に背中合わせ。PCがブルースクリーンになれば飛行機も飛ばない。新幹線の線路で事故が起きれば、東京-名古屋間は3倍以上の時間がかかる。スマホの電池が切れれば地図も見られないし、キャッシュレス決裁もできない。人間の対応力を適切に保つにはどうしたらよいだろう。ChatGPTにでも相談するか…。(吉原)