30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

官民挙げた戦いは緒に就いたばかりだ~令和6年版警察白書から

白書は「市民社会に対する重大な脅威」である匿名・流動型犯罪グループの実態に多面的に切り込んだ。例えば「獲得した犯罪収益について巧妙にマネー・ローンダリングを行っている。その手口は、コインロッカーを使用した現金の受け渡し、架空・他人名義の口座を使用した送金、他人の身分証明書等を使用した盗品等の売却、暗号資産・電子マネー等の使用、犯罪グループが関与する会社での取引に仮装した出入金、外国口座の経由等、多岐にわたり、捜査機関等からの追及を回避しようとしている状況がうかがわれる。犯罪収益が最終的に行き着く先は、中核的人物であることから、匿名・流動型犯罪グループから犯罪収益を剥奪し、その還流を防ぐため、犯罪グループの資金の流れを徹底的に追跡、分析している」との指摘は重要だ。実態を知るほど中枢に近づく。(芳賀)

▼警察庁 令和6年版警察白書

パリ五輪のテロ対策はここからが正念場だ

パリ五輪ではテロに対して最大級の警戒態勢が敷かれていたが、その間隙を縫って高速鉄道TGV路線に対する破壊行為が行われ、人命被害はないものの大きな影響が出た。パリ市街地に集中するあまり、地方の警備が手薄となりがちな盲点が突かれた形だ。アタル仏首相が「TGVの路線を停止させる明確な目的を持った、組織的な犯行だ。犯人は、鉄道網のどこを攻撃するのが効果的か熟知している」と指摘したとおり、破壊行為はパリと大西洋側、東部、北部の各方面をそれぞれ結ぶ路線上にある、分岐点の付近などで起きた。信号情報を送信するケーブルが切断、放火されており、影響を広範囲に及ぼす意図がうかがえる、有効な攻撃だ。外部からの攻撃は情報の非対称性から攻撃する側が圧倒的に優位であると繰り返し述べてきたが、今回もテロリスト優位の構図が露呈した。(芳賀)

そういうことだったのか

香港投資ファンドの「オアシス・マネジメント」が小林製薬株の約5.2%を取得(株主提案が可能となる)したことが判明。7月22日、小林製薬の発表もない中、「小林会長・小林社長の辞任」を各メディアが報じた。その後、小林製薬は公式に否定するも数時間後には、何故か一転して両トップの辞任が発表される。オアシス社の創業者セス・フィッシャー氏はイスラエル国防軍出身。2011年9月15日、香港証券先物委員会は06年日本の証券市場でのJAL公募増資で適格性を欠く相場操縦をしたとして、同社と同氏に対し戒告処分と制裁金750万香港ドルを課した。再三厚労省とマスコミは新型コロナワクチンの薬害は無視し、紅麹菌を集中して叩いた。ヨウ素水溶液を使い新型コロナウイルスの不活化実験に成功していた小林製薬は、外資の支配下での経営転換を余儀なくされるか。(石原)

▼(小林製薬)ヨウ素の新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果の視覚的確認に成功

水遊びによる水難事故が多発。透き通っている川ほど注意が必要

28日の早朝、東京都羽村市の多摩川沿いで遊んでいた中学生のうち1人の行方が分からなくなり、警察が捜索したところ川の深みにはまって溺れた少年が発見され、死亡が確認された。26日には広島市安佐北区三篠川で、23日は三重県の三滝川で、21日には愛知県西尾市の海岸でも水難による死亡事故が発生。連日の猛暑やこれから夏休みという時期も重なり、さらに水難事故は増えていくことが予想される。水難学会の斎藤秀俊氏は「透き通ってる川はより注意が必要」と指摘する。透き通って底が見える川は、底が浮き上がって浅く見えるという。これは光の屈折による錯覚で、透き通っている川ほど人には浅く見えてしまうのだ。以前から本稿で指摘しているように、どんなに浅く遊び慣れた川であっても、水遊びには必ずライフジャケットを着けるよう徹底してほしい。(大越)

「優秀な人材」は、今の組織の課題によって変わるもの

若手の離職に悩み、「次世代のリーダーが育たない」と嘆く会社がある。新卒で一括採用した中から、会社全体をマネジメントできる「次世代のリーダー」を育成しようとするものの、命じられた仕事を淡々とこなし、仕事にこだわりや変化を求めない人は残るが、数少ないリーダー候補は次々辞めていくと。もし自社がそんな組織なら、評価や採用の基準を一度見直すことを勧めたい。現在の現場のリーダーたちが「自分の命令に素直に従う人」を高く評価し、そんなリーダーたちの要望に沿った人を好んで採用しているならば、次世代のリーダーが育たないのは必然だ。人事考課表や役割基準は、現在の自社の課題に合致しているだろうか?人事制度は「一度作ったら終わり」ではないし、全ての部署・全てのポジションで、同じタイプの人が「優秀」とは限らないはずだ。(吉原)

Back to Top