30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

トクリュウを可視化せよ~令和6年版警察白書を読み解く

トクリュウは常に新しい技術を活用しながら、犯罪の高度化・巧妙化・グローバル化を図りつつ、「匿名性」「流動性」も高めていくはずだ。今のトクリュウの姿は、来年にはもはや過去のものとなっている可能性さえある。警察の捜査手法の高度化も重要だが、トクリュウの動向をいち早く察知できるのは、むしろ脅威に晒されている市民や企業だろう。SNS型投資詐欺やロマンス詐欺の「数字上の急増」の背景には、こうした犯罪が社会的に認知されたためとの指摘もある。犯罪自体は目に見える(表面化している)ものだけがすべてではない。国がトクリュウの実態を広く周知することで、気づけていない被害に市民や企業が気づき、警察にさえ見えていなかった端緒が組織犯罪として可視化されることを期待したい。官民のより一層の連携こそトクリュウ対策の肝となる。(芳賀)

▼警察庁 令和6年版警察白書

警視庁が災害時の虚偽SNS対応を強化

1月に発生した能登半島地震では、被災者を装ってSNS上で救助を求めるなどの悪質な虚偽の投稿があり、捜索活動に支障をきたした。2016年の熊本地震では「動物園からライオンが逃げた」という虚偽のSNS上の投稿が人々を怯えさせた事件もあった。このような状況を踏まえ、警視庁は災害時にSNS上の偽情報やデマへの削除要請を強化する方針を作成。具体的な手順を8月末までにまとめ、各都道府県に周知する。一方で、SNSは災害時の強力な情報発信手段にもなりうることから、警察庁は今年1月から「警察庁(災害情報専用)」としてX(旧ツイッター)で公式アカウントを開設。情報発信を開始している。重要なのは、普段から信頼できるアカウントを確認し、災害時などの緊急事態では誤った情報をうのみにせず、拡散しないことだ。企業の担当者も、十分な注意が必要だ。(大越)

▼警察庁(災害情報専用)X公式アカウント

研修レジュメは「ラブレター」?相手を知らずにラブレターは書けない。

同じ業界の同じニーズ、同じ時間、ほぼ同じレジュメにて実施した3回のハラスメント防止研修。いつもと同じテンションで実施したものの…他業界との違いと、個別の反応の違いに戸惑っている。レジュメの個別配布を前提に考えていたら、配付されていなかったり、一部の人のみに配布されていたり。レジュメの投影が巨大なスクリーンだったり、家庭用のテレビだったり。受講者の席が真っ暗だったり、明るかったり。そして時々笑い声がもれたり、シーンとしていたり。馴染みのない業界で、どんな問題が起きがちなのか、何が違いを生むのかを未だに掴めず…ひしひしと感じるのは、共通化の難しさだ。研修レジュメは伝えたい相手へのラブレター。健やかであれ、働きやすい環境であれと願う気持ちを伝えるには、やはり目の前の相手をよく知ることが欠かせない。(吉原)

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