2024年08月26日号
【もくじ】―――――――――――――――――――
高度な技術の二面性~犯罪インフラを無効化し、社会インフラとして有効活用を
犯罪を助長するサービス等を筆者は「犯罪インフラ」と定義し、その悪用実態の把握と対策が重要と指摘してきた。秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」はその典型で、暴力団だけでなく、ルフィグループらの特殊詐欺や闇バイト強盗等に悪用されてきたことでも知られる。今般、「表現の自由」を重視しコンテンツモデレーションに否定的だった同社CEOがネット犯罪を放置したとして仏警察に逮捕された。プラットフォーマー創業者の逮捕は異例だが、その害悪が許容範囲を超えたということだ。他人の生命や財産を奪う直接的なやりとりに「表現の自由」などありえない。過度な規制は問題だが、生命身体、財産等を脅威に晒すことはあってはならない。高い技術であるがゆえ、犯罪インフラ性を排除した、社会的に有用なインフラとしての利活用のあり方が望まれる。(芳賀)
「空振り」ではなく「素振り」と捉えよう
8日、宮崎県の日向灘沖で発生した震度6弱の地震により政府は初めて南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表。15日に解除されたものの国民にとっては不安な1週間となった。お盆期間に関東を直撃した台風7号ではさまざまな警報が発せられたものの、結果として大きな被害は発生しなかった。本稿を執筆している今現在も、台風10号が非常に大きな勢力で明日、明後日と日本列島を直撃するといわれているが、実際にどうなるかはもちろん分からない。これまで、結果として災害情報の「空振り」が続いているのは事実だが、災害心理学者の矢守克也教授は「空振り」ではなく「素振り」と捉えるのが重要だと説く。「空振り」と考えると次にはつながらないが「素振り」であれば来るべき災害の予行演習になる。我々には「見逃し」だけは許されないのだから。(大越)