2024年09月17日号
【もくじ】―――――――――――――――――――
公共の利益を損なう意図的な嘘の「偽情報」や誤りや誤解に基づく「誤情報」への対策が急務だ
ブラジルの最高裁判所が、偽情報の拡散を理由にXのサービス停止命令を承認した。Xへのアクセスを制限しているのは中国やロシア、イランなど権威主義国家が多く、民主主義国家による情報の遮断は異例だ。豪州ではSNSの規制強化の動きが相次ぐ。偽情報対策を怠った運営企業(DPF)に罰金を科したり、未成年のSNS閲覧を制限したりする制度を法制化するという。背景にあるのは、特定の集団を中傷したり、選挙や公衆衛生、重要インフラを混乱に陥れたりする偽情報や誤情報の拡散だ。一方、言論の自由を尊重する立場から、何が誤情報や偽情報にあたるかを規制当局の権限で決めることには慎重さが必要だ。DPFの動きが鈍い中、言論の自由を妨げずに、ネット上にあふれる情報を適切に管理する方策はまだない。SNSの偽情報がもたらす「社会の分断」への対応が問われている。(芳賀)
マグニチュードとモーメントマグニチュード
先日、初めて発表された南海トラフ臨時情報。そのなかで「モーメントマグニチュード(Mw)」という聞きなれない言葉が使われ、何人かから質問を受けたので簡単に解説したい。通常のマグニチュード(Mj)は地震波形から震度を割り出すもので、特徴としては地震波形から振幅を読み取ればすぐに求めることができ、素早い計測や発表が可能となる。震度1や2といった規模の小さい地震の精度が高い一方で、M8を超えるような巨大な地震規模は正しく求めることができない。モーメントマグニチュードは岩盤のずれや断層面の大きさを物理的に計測し、地震の大きさを割り出すもので、小さな地震を計測することには不向きだが大きな地震の規模を求めることが可能になる(ただし、その測定には時間を要する)。担当者は2つのマグニチュードの特徴を押さえておきたい。(大越)
採用面接でもっと聴くべきこと
ハラスメントを恐れて指導できない人がいるように、差別やプライバシー侵害を恐れ、採用面接で必要なことを聞けない人もいるようだ。もちろん思想・信条や宗教、出身地や家族の職業等、仕事をする上で必要のないことを聞いてはならないのは当然だ。だが仕事をする上で必要なことは、むしろしっかり聴き、伝えなければ、互いにミスマッチに悩むことになる。仕事内容や職場環境について双方が同じイメージを描けているか。円滑に仕事を進めるためにどんな配慮が必要で、どんな指示の仕方が理想的か等、具体的に深く聴くことを勧めたい。特に前職の退職理由は情報の宝庫。「なぜ辞めたのですか?」が聞きづらいなら、「何がどうだったなら前職を辞めなかったと思いますか?」と聞けば、応募者の特性や意向がわかり、自社での対応可否も検討しやすいだろう。(吉原)