2024年10月07日号
トクリュウの「機能的な組織性」と「闇のエコシステム」
反社会的勢力は、暴力団の「強固な組織性」からトクリュウのもつ「機能的な組織性」へと姿かたちを変えている。変質する犯罪組織による犯罪と若者をつなぐものがSNSやテレグラムやシグナルなどの匿名性の高い通信アプリ、互いに面識のない第三者同士を犯罪グループに仕立て上げる「闇バイト」といった犯罪インフラだ。それらは正に「闇のエコシステム」を形成し、トクリュウがその「使い手」として存在感を増している状況にある。そして、その「闇のエコシステム」に取り込まれているのが「若者」だ。SNSや様々なツールを使いこなしているつもりが、お金のために犯罪に安易に手を染め、トクリュウの「闇のエコシステム」に知らないうちに取り込まれている実態がある。こうした若者を生まないためにも社会が積極的に「教育」「啓蒙」に取り組む必要がある。(芳賀)
カスハラ対策は、クレーム対応の延長線上ではなく、コンプライアンスの取組に他ならない。
10月4日、東京都カスタマーハラスメント防止条例が成立した。来年4月から施行される。これに伴い都内各企業では、「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」「カスタマーハラスメントを受けた就業者への配慮のための取組」「カスタマーハラスメントを防止するための取組」「取引先と接するに当たっての対応」が必要になる。条例対応に限らず、カスハラ対策推進に当たり忘れてはならないのは、クレーム対応は接遇・サービスの範疇で取り組めばよかったが、カスハラ対策は法令記載事項への対応が求められ、コンプライアンスの問題であるということだ。例えば、対応要領に関しても旅館業法に定めるカスハラを理由とする宿泊拒否事由に該当するかは、法文の要件を踏まえ、要件に該当することは企業側が担保しなければならない。(西尾)
カスハラ防止条例とあわせて検討すべきリスク対策
10月4日、東京都カスタマーハラスメント防止条例が可決、成立した。2025年4月1日施行となる。都内の事業者はカスハラ防止に必要な体制整備に努めなければならない。さて、危機管理の専門会社として体制の検討にあたっての留意点を述べたい。検討は他のリスク対策との整合性を忘れてはならない。「カスハラ客の個人情報管理」「カスハラ客が反社会的勢力であったときの対応」「カスハラ客が製品事故を申し出た際の対応」「カスハラ客が従業員の顔写真等をSNSに投稿したときの対応」など、カスハラ対策はおのずと情報管理、反社、製品リコール、危機管理広報等、別のリスク対策との関連付けた決定が必要となる。企業が検討すべきはカスハラ対策だけではないのだ。危機管理上これらの検討は重要で、詳しい要点を後日、レポートで公開したい。こうご期待。(宮本)
防災庁は人材育成に注力せよ
能登半島豪雨から2週間。輪島市、珠洲市などで14人の死亡が確認され、現地を訪れた石破首相は就任以来の目玉政策の1つとなる「防災庁設置」を進める計画について、改めて記者団に強調した。防災庁(省)の必要性は阪神・淡路大震災当時から叫ばれており、東日本大震災の後には復興庁が設置されたが、当時の政権は「あくまで時限的な措置であり、防災庁に変わることはない」と言い切っていた。防災庁の設置自体は歓迎するところだが、問題はその中身だ。令和6年度「国土強靱化関係予算概算要求の概要」によると、5カ年で総額7兆円とも言われるその予算はほとんどがハード対策で、ソフトにかける予算は1000憶程度。そのうち防災スペシャリストなどの人材育成にかける予算はわずか2.6億円だ。防災庁では、ハード偏重にならず人材育成に全力を注いでほしい。(大越)
ジタバタすれば、何かは変わる!
学生時代の就職活動にて。最終面接の手ごたえは悪くなかったが…連絡が来ない。採用の場合の連絡期限まではあと数日、せめて意志だけは伝えたいと、「本当に第一志望です」と手紙を書いた。そして翌日。「今から来れますか?」とその会社から電話があり、すぐ訪問。その場で内定通知を受け取った。その会社は決して大きくはなく、仕事も正直キツかった。某女子大出身の私は「どうせ内定を出しても来ないだろう」と思われたそうで、「あと1日遅かったら間に合わなかった」とのことだった。「自分で人生を動かした瞬間」だと思った。自分の行動によって道が開ける、何かが変わるという体験は、今思えば非常に貴重で有益な体験だったと思う。全てが自分の思う通りにはならないが、ジタバタすれば何かは変わる。全てのコンプライアンス担当者様に伝えたい。(吉原)
育児・介護に関する個別対応範囲の拡大に備えて
育児・介護休業法が改正され、従来は妊娠・出産・育児に関してのみ義務化されていた、個別の周知・意向確認、雇用環境整備等の措置が、来年4月から介護にも拡大される。さらに、今年の11月からフリーランス法が施行され、6か月以上の業務委託について、フリーランスが育児や介護などと業務を両立できるよう、本人の申出に応じて必要な配慮が義務付けられる。これらは現場の管理職が行うことが考えられるため、管理職向けに研修等を通じて対応方法を周知しつつ、人事部門等の支援体制の構築が必要だろう。特に、フリーランスの場合、本人から発注者側に情報を提供してもらったり、協議に応じてもらったりしないと、発注者側は十分な配慮ができないため、例えば、契約書にフリーランスが情報提供や協議に応じることを定めておくことが考えられる。(安藤(未))