30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

届けたい相手に届けたい情報を(2)~社会全体で強い危機感を共有すべきだ

首都圏を中心に相次ぐ闇バイト強盗で、警察庁が「相談を受けたあなたや家族を確実に保護します。安心して、勇気を持って今すぐ引き返して」と注意を促す動画をXで発信して以降、警察当局が少なくとも3人を保護したという。1人はSNSを通じて求人情報に応募。指示役に犯罪行為を指示されたので拒否したところ、送信していた個人情報を元に脅迫された。警察が発信したXでの動画を紹介する報道を目にしており、警察相談専用電話「♯9110」に相談して保護に至ったという。届けたい相手に届けたい情報が届いた好事例と評価したい。強盗殺人は無期懲役か死刑となる可能性がある。「たった数万円、もしかすると全くもらえないかもしれないのに、自分の人生を売り渡すのはどう考えても割に合いませんよ」(龍谷大学の廣末登氏)今、若者に伝えたいのはそれだけだ。(芳賀)

新潟県中越地震20年から学ぶ

今から20年前の2004年10月23日、新潟県中部を震源として震度7の地震が発生した。世にいう新潟県中越地震である。震度7を計測した後も震度6弱クラスの地震が発生。およそ1カ月にわたり、震度5弱を超える地震が断続的に発生した。この地震により68人の方が亡くなり、負傷者は4805人、全壊家屋は3175棟にのぼった。当時の課題として挙がったことが、「孤立集落」「災害関連死」「中山間地の復旧復興」そして「次世代への継承」だ。道路寸断がもたらした集落の孤立を次世代に伝えるために、「震央メモリアルパーク」や「川口きずな館」などからなる「中越メモリアル回廊」が作られている。今、多くの点で能登半島地震と中越地震の共通性が専門家の間で話題となっている。能登半島の未来を探るためにも、いま一度中越地震の復興の軌跡をおさらいしておきたい。(大越)

▼中越メモリアル回廊

目線を変えて気付く「40のドア(?)」

通勤電車の中にて、ホームから聞こえて来た駅員さんによるアナウンス。「扉は40個あります。どこから乗っても一緒ですよ。空いているドアからご乗車ください。」淡々とした口調と独特な言い回しに思わずクスリとした。エスカレーターや目的の改札に近い等、個々に事情はあるはずだが、多くの人にとっては少々歩けば済む話で、確かにどのドアから乗ってもたどり着く駅は同じ。40のドア全ての安全に気を配る駅員さんの目線では、少々歩く手間よりも、安全な乗降と快適な車内環境のメリットを知らせたいということであろうか。「乗客」の視点では、見えているドアはせいぜい2~3。それが「駅員」の視点によって40に広がった。目の前の仕事を淡々とこなす日々も、たまに視点を変えることで、リスクや魅力・やりがい等、「40のドア」が見えるかもしれない!(吉原)

日本は「単一民族国家」ではなく、1000年以上前から「多民族共生国家」

タイトルをご覧になって「何を当たり前のことを…」と思う方も、「学校では単一民族国家だと習ったけど…」と思う方もいらっしゃるだろう。筆者も中学時代に「日本は単一民族国家」と習った。しかし、出入国在留管理庁によると、2024年6月末時点の在留外国人数は358万8956人で、過去最多を更新した。外国人人口の絶対数で言うと、OECD加盟国の中で日本が上位に位置している。そもそも、多くの日本人は、DNA解析から縄文人と弥生人との混血であることが明らかになっているし、平城京や平安京では、はるか中東からやってきたトルコ系の秦氏が活躍した。日本は大昔から「多民族共生国家」なのだ。学校で「日本は単一民族国家」と習った人たちからすると、常識が覆される事実かもしれない。日々刻々と常識は変わることを前提に、認識をアップデートしてほしい。(安藤(未))

▼出入国在留管理庁「令和6年6月末現在における在留外国人数について(令和6年10月18日 報道発表資料)」

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