30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

最凶の犯罪インフラ「闇バイト」~「割に合わない」のは当然だ

「闇バイト」を起点とする連続強盗事件が体感治安の急激な悪化を招いている。さらにSNS型投資詐欺などの被害も深刻だ。こうした犯罪の入口となり、トクリュウがその資金獲得活動の基盤としているのが「最凶の犯罪インフラ」である「闇バイト」であり、シグナルやテレグラム、飛ばしの携帯や電話転送サービス、SIMカード、求人プラットフォームなどの「犯罪インフラ」がそれを支える。これらの犯罪インフラを駆使し、闇バイト経由で集まった「素人」を犯罪者に仕立て上げる仕組み、効率的、爆発的な資金獲得のための「闇のエコシステム」を作ったのがトクリュウだ。だが、その原型は暴力団が作ったものだ。「割に合わない犯罪」だからこそ「素人」を大量に使い捨てる仕組みが必要だったのだ。暴力団が暴力団であることを捨てた先にトクリュウは生まれた。(芳賀)

従業員と会社をカスハラから守るための危機管理に大切なこと

カスハラと正当なクレームとの見極めが難しいという報道が散見される。当社セミナーでは解説しているが、厚生労働省や東京都のように、内容面の判断要素をカスハラの定義に含めると、両者の見極め基準があってないようなものなので、このような悩みに直面するのは当然だ。これは概念整理の仕方の不味さや実務へ理解が不十分なまま、議論を進めた結果に他ならない。当社の提唱する5カ条では、内容面はクレームか不当要求かで判断するため、このような問題は生じない。また、カスハラ対応は打ち切るためのロジックとプロセスが大切で、5カ条では顧客側の自己責任を理由に打ち切るため、両者の見極めも容易だし、打ち切るための大義名分もできる。真に実践的なノウハウでなければ従業員は守れない。生兵法は大怪我の元。真贋を見極めることが大切だ。(西尾)

従業員の健康と安全のために、労使双方の義務の教育周知を

厚労省は毎年11月を「過労死等防止啓発月間」と定めている。脳・心臓疾患に係る労災請求件数は、H14年以降、750~900件程度で横ばいであったが、令和5年に1000件を超えた。支給決定件数はH24以降減少傾向にあったが、令和4年からは再度増加している。精神疾患に係る労災請求件数は右肩上がりを続けているが、令和5年は前年より892件増加の3,575件で、初めて3000件を超えた。支給決定件数もH24以降は500件程度で推移していたものが、令和2年に600件を超え、令和5年には883件に達している。企業側には安全配慮義務等がある一方で、労働者側にも自己安全義務や自己保健義務があるが、労働者の義務はあまり知られていない。企業は、安全で健康に働くために、労働者にも義務があることを教育・周知し、従業員が主体的に健康と安全を確保できるような支援もすべきである。(加倉井)

▼令和5年版過労死等防止対策白書(本文)(厚生労働省)

津波に関する豆知識

本日、11月5日は国連による「津波の日」。今日は津波に関する豆知識を。「津波高1mで、ほぼ人の致死率は100%」。30cm以上で死者が発生するといわれている。「津波の速さはジェット機以上」。2010年に発生したチリ地震では、約1万7千km離れた日本に到達したのが22時間後。平均すると時速約700kmとなる。津波の速さは地震の大きさではなく、海の深さで決まる。水深が浅くなるほど遅くなるので、沿岸部に到達して水深1mのところでは時速約30kmとなり、これはオリンピックの短距離選手よりも早い。津波が見えてから走って逃げては遅いのだ。「引き潮は必ずしも発生しない」。1993年の奥尻島地震では地震の2~3分後に津波が到来。引き潮はほとんど発生しなかった。引き潮を確認するまでもなく、地震が発生したらすぐに避難することが重要だ。担当者は覚えておきたい。(大越)

▼地震津波対策 津波について(国土交通省)

▼特集 津波について知ろう(内閣府)

あえて「やる気を失う一言」を考えてみた

唐突だが「やる気を失う一言」を考えてみた。必死に頑張って「どうにかした」後で軽く言われる「ほら、なんとかなったじゃん」。品質を追求しているときに言われる「もっと効率よくやれよ」。途中経過が不甲斐なく、悔し涙で何とかフィニッシュを迎えた業務に対し、結果だけを見て「いつもながら、よくできているね」。複数の業務を同時進行し、テトリスのようにスケジュールを組んでやっと間に合わせた仕事に言われる、「そういえばこれ、やらなくてよくなったんだよ」。時々、企業内の研修で、こんな「これは嫌だ!」「こうなったら最悪!」をあえて考えるようなワークを行う。次々と挙げられる「これは嫌だ!」を見ていると、何を大事にすべきか、これから何をしたら良いかがよくわかる。とても簡単なこと、「これは嫌だ!」の逆のことをすればよい。(吉原)

「それはカスタマーハラスメントなので対応を打ち切ります」「通報します」などと言う前に…

一部の自治体でカスタマーハラスメントの防止対策として、庁舎内での撮影や録音を禁止することに対し、生活困窮者の支援団体から「生活保護の申請時、録音禁止が悪用されかねない」との懸念が表明されている。民間企業においても、「カスタマーハラスメント」の言葉が独り歩きすると、本当は約束を守っていなかったり、落ち度があるにもかかわらず、顧客の怒りの様子だけをとらえて、その顧客を排除しようとしたりする事態が起こるかもしれない。例えば、「本来の代金が1万円のところ、2万円を請求された客が激怒して土下座を要求した」という事例ではどうだろうか。店員が代金1万円のところ2万円を受け取って、余った1万円を着服しようとした可能性も否定できない。まずは事実確認をした上で、店員の対応に問題があるなら、謝罪することが先決だ。(安藤(未))

▼毎日新聞『カスハラ対策で「録音禁止」 広がる自治体の動きに懸念の声』2024/10/31 11:15(最終更新 11/1 11:33)

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