2024年11月11日号
【もくじ】―――――――――――――――――――
届けたい相手に届けたい情報を(3)~事態は深刻だ。社会全体で未然防止に取り組むべきだ
闇バイト強盗に加担しないよう警察幹部が訴えた動画の公開以降、全国の警察に「闇バイトと知って怖くなった」などの相談があり、11月7日までに各地の警察が保護を実施した件数は46件に上った。10~20代が半数以上を占め、本人のほか家族を保護したケースもあったという。届けたい相手に届けたい情報が着実に届きつつあり、社会全体でこの動きを後押ししたい。だが、事態は深刻だ。「ルフィ」に比べても犯罪の稚拙化、凶悪化が進み、「使い捨て」の度合いが高まり、「底が抜けた」(警察幹部)状態だという。首魁の摘発に向けた捜査の深化を期待するとともに、相談できずに闇バイトに手を出す者らを社会全体で包摂する取り組みも必要だ。いったん切れた社会的紐帯を取り戻す困難さもある。教育や声掛けなど未然防止のために私たちにもできることはある。(芳賀)
カスハラがなくなる世の中を願って
コンビニエンスストアや飲食店でカスタマーハラスメント(カスハラ)禁止のポスターを見ることが多くなった。ポスターでは不当要求に加え「人物を無断撮影しSNSへ投稿」「待ち伏せ・つきまとい」など“迷惑行為”を含めてカスハラ禁止を促している。企業は、事案が起きると安全対策や刑事事件化等を進めるが、迷惑行為は相手が誰だか分からず、当人に中止を申し入れて防ぐことができない事案が多い。継続して対策を続けることが、企業にとってかなりの負担になっている。東京都カスハラ防止条例には「何人も、あらゆる場において、カスタマー・ハラスメントを行ってはならない」との条文がある。官民の取り組みが功を奏し、人々が互いを尊重し合い、カスハラが世の中からなくなることを願いたい。こんな条文を作らねばならないほど被害は深刻なのだから。(宮本)
研修の成果を発揮するのは「家族のため」でもいいじゃないか!
コミュニケーションや指導に関する研修を実施すると、時々、「子どもの顔ばかり浮かんできて…」等と、家族とのコミュニケーションの悩みを打ち明ける方がいる。どう伝えるか、どう聴き、どう受け入れるかの悩みは、職場内だけの話ではない。仕事へのモチベーションの源泉に「家族」を挙げる人も多く、部下がどうでもいいわけではないだろうが、優先順位的には家族が第一の人もいるだろう。家族が優先でも全く問題ない!伝えるのも技術、聴くのも技術であり、技術は一朝一夕には上達しない。短時間の研修では、せいぜい技術を磨くことの重要性と、磨き方のヒントを伝えるくらいしかできない。職場でのコミュニケーションを練習の場とし、家族のために活かせばよいと思う。家でも職場でも共通点は多い。筆者は育児書を研修内容の参考にするくらいだから。(吉原)
法律の「主語」に要注意~公益通報者保護法を例に~
皆さんには「釈迦に説法」かもしれないが、法律の条文を読む際には「主語」に注目してほしい。主語が「事業者」なら、あくまで事業者(会社等)を縛る条文であって、労働者を縛る条文ではない。誤解されがちな例を挙げると、公益通報者保護法における1号通報(社内窓口等への内部通報)と3号通報(マスコミ等への外部通報)の順序の問題だ。公益通報者保護法第3条には、3号通報をした人に対する解雇が無効となる条件の1つとして、「1号通報をした日から20日を経過しても事業者側から通報者へ調査を行う旨の通知がない場合や、正当な理由がなくて調査を行わない場合」があるのだが、これはあくまで「事業者が通報者を解雇した場合にそれが無効になる」という話であって、「通報者は1号通報の前に3号通報をしてはならない」ということではない。(安藤(未))