30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

「無知は罪なり、知は空虚なり、英知持つもの英雄なり」(ソクラテス)

警察は「犯罪者グループは、約束の報酬を元から支払うつもりはなく、応募者は「使い捨て」要員です」、「犯罪行為ではないと「あなた」は「あなた」自身に言い訳をしていませんか。知らなかったという言い訳は警察には通用しません。警察は必ず捕まえます。逃げることはできません」、「強盗を指示されて、人を負傷させたときは「無期又は6年以上の懲役」(強盗致傷罪)、人を死亡させたときは「死刑又は無期懲役」(強盗致死罪)となります」などと指摘する。「ネットで情報が集められる時代になったけど、いまの若い子には情弱な奴が多いね」、「「金がすべて」という奴が増えているね。そんな時代だから、若くて聞き分けの良い実行犯を集めるのは楽勝」と述べるのは暴力団関係者だ。知ろうとすれば知ることができる。知ろうとしないことが罪なのだ。(芳賀)

▼警察庁 犯罪実行者募集情報に応募している人へ

カスハラ防止条例検討の動き 愛知県でも

先日、名古屋市交通局の市バス運転手に対し乗客の男がカスハラを行い、男が逮捕されていたと報道があった。事件は10月20日、男がバスに乗り込んで運転席に詰め寄り「駆け込み乗車すんなっていつも言っているのおまえだろう。おまえ降りろ、おまえ降りろや」と、突然、怒鳴りつけたという。運転手はやむなくバスから降り、また約40人の乗客は次に来たバスに乗り換えたとのこと。運転手は1時間ほど事件対応に追われ、少なくともこの間バスは運行できない事態となった。大迷惑、極まりない。事件の舞台となった愛知県でもカスハラ防止条例制定に向け協議会で検討が始まっている。事件のような従業員に対する、また善良な客に対するカスハラ被害を防ぐためにも、ぜひ成立に向けた議論を加速させてほしい。客側のカスハラをけん制し踏みとどまらせるために。(宮本)

▼カスタマーハラスメント防止対策に関する協議会 愛知県

阪神淡路大震災から30年

筆者が大学新卒で通信社に入社した1995年は激動の年だった。1月17日には阪神淡路大震災が発生。関東大震災以来初めて大都市圏を襲った内陸直下型地震は、戦後大きな地震がなかった我が国に、改めて「地震大国日本」の現実を叩きつけた。3月20日には地下鉄サリン事件が発生し、経済面でもそれまで盤石と言われた三菱銀行と東京銀行が合併。円は1ドル=79.75円の最高値を更新し、コスモ信組や木津信組、住宅金融専門会社といった大手の金融機関が次々と破綻・経営悪化し経済は混迷を極めた。一方でWindows95が発売されるなど、新しい価値観が生まれた年でもあった。来年2025年はあれから30年にあたる。神戸市では「震災30年を未来につなぐ-持続可能なグローバル貢献都市へ-」をコンセプトに様々な事業が開催される。担当者は一度、現地を訪れてみるのも良いだろう。(大越)

「わかりやすさ」の追求と「わかったつもり」

企業内研修や研修動画の制作に携わる機会が多い。伝えるべきことを伝えるために、わかりやすさや興味を高める工夫をするのだが、時に「わかった」ではなく「わかったつもり」を招いてしまう。集中して聞いてもらおうと、オーバーな例で笑いを誘ったり、展開スピードを速めたり、落としどころとなるフレーズを繰り返したりと様々工夫をするのだが、「よくわかった」「わかりやすかった」の評価にこだわると、内容へのコメントが薄くなり、「面白かった」と言われがちだ。面白くないと聞いてもらえないが、面白かっただけで「わかったつもり」もいけない。研修で目指すのは「やってみよう」等の行動変容。いざ実行しようと思えば「これも知りたい」「この場合はどうか」と疑問が増えるはず。研修は「もの足りない」と評されるくらいが良いのかもしれない。(吉原)

何かを成し遂げるには、必ず不快感が伴うのは当然のこと

読売新聞によると、自衛隊の飛行訓練では、1cm、1秒とったわずかなミスが命取りになるそうだ。ある訓練で、操縦かんを握った隊員が誤った操作をしようとしたため、指導役がとっさに「危ない。何やってんだ!」と制止したところ、隊員が「威圧的に指導された。パワハラだ」と主張したという。もしも、丁寧な口調で指導していたら、最悪、死者が出ていたと思う。「心理的安全性」の生みの親、エイミー・C・エドモンドソン教授は、「何かを達成するためには、その途中に不快感を伴うものです」と述べ、それをオリンピックの体操選手に例えて、「練習では自分と自分の肉体を追い込み、リスクは冒すが、あくまでケガをしない範囲に留める」とも述べている。何かを成し遂げるには、必ず不快感が伴う。「不快感の無い仕事」など、この世に存在しないのだ。(安藤(未))

▼読売新聞『何がパワハラ?悩む自衛隊…命がけの現場でも語気強めればすぐに「威圧的」主張、指摘恐れ萎縮も』(2024/11/15)

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