2024年の特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額を合計すると、約1990億円にも上った。だが、統計上、男性と女性との間に顕著な「騙されやすさ」の有為な違いがないとの研究結果、中高年者において、騙されやすさと高次脳機能や年齢に直接関連がない可能性を示唆する研究結果などがあり、統計上の数字が被害のすべてではない。事態はもっと深刻だ。最近の被害増加の要因の一つには、ネットバンキング(NB)の送金の上限額の高さがある。加えて、送金の際に金融機関の職員らと接する機会がなく、他の人から詐欺だと指摘されづらい点もある。被害全体の2割超が犯人側から指示を受けてNBを開始したほか、犯行グループ側が被害者名義の口座を開設した例や勝手に送金された事例も多い。NBの犯罪インフラ性の悪化をふまえ、規制のあり方を見直す必要がある。(芳賀)

▼警察庁 令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値版)

過剰なハラスメント意識やコンプライアンス意識は活動を停滞させる。フジテレビ報道しかり、現在の日本は何かあれば鬼の首をとったように袋叩き、総批判。犯罪行為はきちんと処罰されるべきだが、袋叩きや誹謗中傷のオンパレードは、健全な法治国家の姿ではない。昔からの悪しき風習である村八分に当事者を追い込む状況は、令和の今も変わっていない。自由主義や法の支配とは程遠い。進化どころか、国民性が退化してないか。多数意見で、特定の者を非国民と罵り、叩き、誹謗中傷や迷惑行為をして当事者や関係者を追い込むのは、それこそ、人権侵害であり、ハラスメントだ。コンプライアンスやハラスメント防止は社会の活動を円滑に行うための手段に過ぎない。目的と手段を履き違えると、発展はない。(西尾)

強い冬型の気圧配置の影響で、日本海側を中心に大雪が降り注いでいる。昨日2月9日には新潟県では魚沼市や十日町市など3市1町に、福島県でも会津若松市など17市町村に災害救助法が適用された。強い寒波の峠は越えたとの報道もあるが、雪はこれからも降り続ける可能性が高い。現地の方々はくれぐれも怪我に注意していただきたい。被災した石川県能登半島地域では「今季最強寒波」が長期間とどまったことによる大雪の影響により、地震で半壊していた家屋の倒壊などの被害が発生しているという。半壊と全壊では国から支給される災害支援金にも大きな差が出る。行政にはぜひ被災者に寄り添った判定を願いたい。雪が収まっても、雪下ろし最中の転落事故や融雪による雪崩、土砂崩れなどの恐れもある。企業も該当地域の従業員に対して注意喚起が必要だ。(大越)

研修実施後のアンケートを読むと、同じ研修でも受け止め方は人それぞれであることがよくわかる。先日実施したハラスメント防止研修では、「どんなお堅い研修かと思ったら、講師がポップな感じで親しみもあり、わかりやすかった」との感想がある一方で、「わかりやすく有意義だったが、ハラスメントの話題なのに妙に明るい口調で、深刻なトピックを軽く扱われている印象を受けた」との感想も。より良い職場を目指してほしい一心であり、ポップさも明るさも意識していないのだが…次はどうすべきか悩ましい。痛烈な批判を避けるなら、当たり障りなく無難にこなすのが良いのだろう。だがそれで、より良い職場を目指す行動につながるだろうか。「批判も心に残った証拠！」と開き直る自分も、批判を怖がる自分もいる。「目的に向けて真っすぐ」は案外難しい。(吉原)

先週2月7日に能動的サイバー防御の関連法案が閣議決定され、今年の通常国会に提出される。能動的サイバー防御とは、国が平時から通信を監視し、重要インフラへの攻撃などの兆候を探り、兆候があった段階で相手のシステムに入って無害化する仕組みを指す。「重要インフラ」の15分野を営む事業者は、サーバーなどが政府から監視されることになる。さらに、このような事業者からサーバーの運営を委託されている事業者やデータの委託をされている事業者、サプライチェーンで繋がっている事業者も政府からの監視対象に含まれると考えられる。まずは、利用規約等に「政府の監視下に置かれる」等を付記する可能性も想定し、サーバーで保有・管理しているのか、外部に委託しているのか、社内の誰が保有・管理しているのか等を確認することをお勧めする。(安藤(未))

▼内閣官房「国会提出法案(第217回 通常国会)」