30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

日本が海外から狙われている~ミャンマー詐欺問題は「闇バイト」問題でもある

ミャンマーを舞台にした国際的な詐欺では、日本から渡航した高校生の少年2人が保護され、帰国した。このうち宮城県の17歳の少年が渡航するきっかけはオンラインゲームだったという。ゲームで知り合った日本人の男から「むこうに行くと良い仕事がある」などと誘われたとされる。オンラインゲームを通じた「闇バイト」の手口自体以前からあるが、トクリュウの一類型である半グレが中国系犯罪組織の絡む犯罪に連なる結節点となったようだ。「中国マフィアで特殊詐欺をやっているグループが、いちばん欲しがるのは日本人だ。よく働き、勤勉で、指示に逆らわないからだ。しかも、日本人はカネ持ちが多いから、“売り上げ”も上がるしね」とは暴力団関係者の指摘だが、今やあらゆる犯罪において「日本が海外から狙われている」ことを認識しておく必要がある。(芳賀)

南海トラフ巨大地震新想定を3月末公表

政府の中央防災会議に設置された「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」は、今年3月末に新しい南海トラフ巨大地震の被害想定を公表する。現在の被害想定は東日本大震災の教訓を受けて平成25年(2013年)に公表されたもので10年以上が経過していることから、防災対策の進捗を確認するとともに次の防災対策の目標を策定することを目的としている。現在運用されている「南海トラフ臨時情報」については、2016年の熊本地震を教訓として策定され2019年から運用開始されているため、新被害想定では南海トラフ臨時情報の発表を基本とした減災対策が盛り込まれるとみられる。WG取りまとめ役の福和信夫名古屋大名誉教授は「この十数年間で対策が進んだ面もあるが、人口減少や過疎地域の増加など社会としてはずいぶん弱くなっている」と取材に回答している。(大越)

雇用保険の給付金~制度改正への無関心は危険、振り回されるのも危険~

定年退職前後の人の嘆きをよく聞く。「従来と同じ仕事をしているのになぜ賃金が下がる?」「管理職の尻拭いばかり」「次世代を育てろと言うが、育てる人が配属されない」等々。65歳までの雇用機会提供が義務化された際、再雇用後の賃金を、雇用保険の高年齢雇用継続給付金のフル受給を目指して一律61%に設定した会社もあったような。「一律」は平等で手間いらずだが、努力や成果は報われず、不満を招く。その高年齢雇用継続給付金、今年4月以降に60歳に達する人から、支給率の上限が15%から10%に下がり、それに伴いフル受給時の賃金低下率が64%に上がる。低下率61%のままでは、さらに収入は減り、さらなる不満につながるだろう。年は誰もが取るもの。個々の働きぶりへの無関心や給付金・年金の都合等で、働く気力を奪われたくないものだ。(吉原)

替えがきかない仕事もあるようだ

東京ヤクルトスワローズのマスコットキャラクター、つば九郎の「中の人」が亡くなった。OBや他球団も含め多くの選手・監督、報道関係者、球審等から哀悼の意が表明されている。これほどまでに、キャラクターの「中の人」が注目を集めることがあっただろうか。つば九郎と言えば、時事ネタやいじりも交えた「フリップ芸」だが、これを他の人が真似するのは至難の業のように思えるし、何よりこれだけ多くの人に慕われる人柄も替えがきかないだろう。私は常々「そもそも仕事というのは替えがきくもの。大統領だって替えがきく。誰も引き継がないのなら、世の中に必要のない仕事」と考えていたが、つば九郎に関してはそうではないようだ。つば九郎の「えみふる(笑みFULL)」の仕事は、この「中の人」だからこそ成しえたものだろう。謹んで哀悼の意を表します。(安藤(未))

▼東京ヤクルトスワローズ「球団からのお知らせ」(2025/2/19)

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