2025年03月10日号
体感治安の悪化を食い止めよ~トクリュウ・SNS・匿名化・犯罪インフラ対策・連携が肝となる
「令和6年の犯罪情勢について」によれば、2024年の刑法犯認知件数は前年比4.9%増の73万7679件で、3年連続で増加したという。SNSを通じた詐欺や特殊詐欺の被害が急増したほか、「闇バイト」強盗の発生など、国民の「体感治安」が悪化していることが統計上の数字からも読み取れる。こうした統計上の数字から見えてくるもの、あるいは統計上の数字には表れないものから見えてくるのは、最近の犯罪の有する、そこはかとない「不気味さ」だ。トクリュウ対策、SNS対策、匿名化への対応、犯罪インフラ対策、そしてこれまでとは異次元の国内外の連携の強化、柔軟な対策の実行によって、これまで見えてこなかった犯罪の構図、首謀者や実質的支配者という「悪意」を白日の下に晒すことが、「不気味さ」を払しょくし、「体感治安」の悪化を食い止めることにつながる。(芳賀)
南海トラフ臨時情報「巨大地震警戒」、67万人に事前避難の可能性
南海トラフ臨時情報「巨大地震警戒」が発表された場合、津波の警戒のために政府が求める事前対象者の人数が全国で139市町村、67万人を超えると、3月9日付朝日新聞が1面で報じている。政府の被害想定では南海トラフ巨大地震の死者・行方不明者の数を約32万3千人。およそ2倍の数字だ。おさらいになるが、例えば紀伊半島以東の南海トラフ地震が発生すると、その後一週間は四国、九州など西側で巨大地震発生の確立が高くなり、政府は「巨大地震警戒」の情報を発し、住民に対し津波が想定されるエリア外への事前避難を呼びかける。今回は朝日新聞の独自調査による数字だが、政府は実数を公表すべきだろう。避難を呼びかける人数が多いのは三重県伊勢市(8万1千人)、静岡市(5万2千人)など。対象の地域に拠点のある企業は、一刻も早く検討が必要だ。(大越)
内部通報制度は、安心して戦い、助太刀できる制度であれ!
観劇に行ってきた。江戸末期が舞台の時代劇で、悪人はわかりやすく悪人であり、主人公や仲間たちは、自分の生活に苦労し、悩み、尻込みしたり、裏切ったり表返ったりして、最後は仲間を助けようと悪に立ち向かう。「正義」の反対はわかりやすく「悪」であり、命がけで戦う主人公のもとへ、仲間たちも命がけで助太刀に行く姿は実に清々しい。翻って現代。「正義」の反対は「悪」というより「別の正義」。不正やハラスメントに気付いても、「面倒なことに巻き込まれたくない」と、内部通報などしない人も多い。職場で少々立場が悪くなっても命まで失うわけではないが、お節介はやかず、身を守って仕事を止めないのも正義だろう。だがハラスメントに苦しむ主人公が一人で戦う現代劇は悲劇だ。内部通報制度は、安心して戦い、助太刀できる制度であれと願う。(吉原)
家庭内や個人の防災訓練も忘れずに~災害伝言用ダイヤル(171)を例に~
NHKの『あしたが変わるトリセツショー』の企画で、本来、災害時にしか利用できない災害用伝言ダイヤル(171)が、3月6日19:00~3月9日23:59の期間限定で開放された。この期間内なら実際に171を使用し、家族や知人宛てにメッセージを録音したり、録音されたメッセージを再生したりする体験ができるというわけだ。我が家もこの機会に利用してみたのだが、早速メッセージを残す自宅の固定電話の番号を間違えた。普段はいちいち番号を入れずに、スマホに登録された電話帳をタップすればいいだけなので、いざ171に電話して固定電話の番号を手作業で登録すると、こういうことが起きる。171は、家族や知人の安否確認のため危険な地域に出向いてしまう等のリスクを冒さないためにある。毎月1日と15日は体験利用ができるので、是非皆さんも利用してみてほしい。(安藤(未))
▼NHK『あしたが変わるトリセツショー 命を守る! 「まさかの防災」グッズ&スマホ活用術』(初回放送日:2025/3/6)
▼NHK『あしたが変わるトリセツショー 特別開催! スマホ片手に石原さとみと防災訓練』(2025/2/28 12:00)